検閲前夜のひらログ

おひまつぶしになれば、さいわいです。

路傍の吐瀉物

くりかえすが、私は言われたことを言われたとおりにしか受け取れないご病気ぎみで、そのいちじるしいことといえば家の人にASDを疑われたほどである。調べ上げたところで私自身にとっては得られるものが少ないと踏んでいるから、受診はしない。まあきっと、ど…

水槽の脳

寝支度をすませた最愛の宇宙人が電話をかけてきてくれるまで、半時間ほど待つ。私はすでに消灯した自室の毛布と毛布のあいだで、胎児の姿勢をとっている。母と妹いわく、寒いときの私の寝相は「丸」で、なるべく小さくなっている、ということらしい。こうす…

ガスマスク

いままででいちばん、毒にも薬にもならぬどころか、毒としては作用しそうな、むろんためにならぬのはいつものことだが、うつくしくもおもしろくもないものを書く。ぐちをこぼす。はたして、おひまつぶしくらいには、なりましょうか。 いまこの国で、おまえの…

チューしたかったらするだけだ

YouTubeの広告にげんなりした話です。 ITZYだいすき限界オタクとして毎週のように愛をささやきつづけていたところ、最愛の宇宙人が「じゃあ、こっちはどう?」といったようすで、BLACKPINKというアーティストを教えてくれた。偏食家の私とちがって、なんでも…

「ボヘミアン・ラプソディ」に寄せられる「偏見がなくなった」という声へ

きょうは、おしゃべりをするときの熱量と速度を保ったままの文章を書かれるすきな先輩にお会いして、やっぱりすきだなあと思っていたところ、「検閲前夜のひらログはもう更新しないのですか?」とたずねられてしまったので、先輩のまねごとはできっこありま…

城のスケッチ

きわめて酒に弱い私が、擬似の酩酊感を得ようとして試みたのは、迷子になることだった。私はインターチェンジ裏のホテル街にいた。読者の感興をそそるような事件はなにもない。その散歩のはじめからおわりまで、私はひとりだった。記憶を頼りに同じ道を辿る…

続・「らしさ」解体

規範を逸脱するものの存在が、規範を無効化するのではなくかえって強化するという非合理的な構造を有しているのが「らしさ」である、という話を昨日ここでした。しかし、私が言うまでもなく、「らしさ」を持ち出す人は、それに根拠がないことなどおおよそわ…

「らしさ」解体

私の尊敬するキーボーディストには、ピアノを習っているというだけで「女かよ」とからかわれた子ども時代があったらしい。仮に私が〈ピアノは女が弾くもの〉と決め込んでいたなら、その出会いを機に「男の子もすてきにピアノを弾くのか」と知見を広めていた…

面接後記

新卒が面接で話すことは、華々しい経歴や実績でなくてかまわない。このことは、ゼミ、サークル、ボランティア、バイトリーダー、留学経験、このうちのひとつにも関わりのない私から自信をもって伝えたい。ついでに、スカートを穿かなくても、化粧に細心の注…

知らない

名前は聞いたことがないまま、私が「無知の知」に近い概念を獲得したのは小学生のころだった。「自分の知らないものは存在しないものとする世界って地獄だな」と思った、当時のできごとがある。ほうれんそうから思いつくものを書き出そう、と言われて、報告…

みんなちがって

「成績優秀で、アルバイトにも趣味にも打ち込んで、時間を有効に使っていたんですね」と言われて、「身に余るおことばです。私はほんとうに暇でして、やれるだけのことしかやらない姿勢を貫いて、それなりの成果を上げてきたにすぎません。時間の無駄遣いを…

アンダーザブリッジ

川べりの斜面に腰かけて、さっき買った納豆巻きを食べ終えたところで、これを書いている。日射しが首筋を灼くのと、蟻が膝までのぼってくるのには困ったが、清潔な内装や慇懃な挨拶から離れるのに、ここはうってつけだ。草木と土のにおいでいっぱいになりた…

私はやせたかった

やせていることはすなわち美しいとまったく思わなくなってから私は勝手にやせはじめた。両者のあいだにはなんの相関もないが、人生だなあ、とひとり納得している。傘を忘れると雨が降る、だれにも会わない日は前髪がじょうずに巻ける、そういう種類の味わい…

これからのおっぱいの話をしよう

おっぱいは、お好きですか。「おっきいおっぱいが好き」。よいですね、すてきです。「ちっちゃいおっぱいが好き」。ええ、わかりますよ。「ちっちゃいおっぱいを恥じらう子が好き」。そこ、いま、なんとおっしゃいました? もうけっこう、お引き取りください…

白い百合

白い百合が好きだ。これはなにかの隠喩ではない。ここで私は「白い」「百合」からあらゆる表象だの文化的意味づけだのをはぎとり、ユリ科ユリ属植物の話をしたい。「ガールズラブ」や漱石の夢十夜を知るよりずっと前から、私は白い百合が好きだ。 まめな祖母…